photo: Kenichiro Otsuka
edit: Toshikazu Saio
2025年12月11日、北栄町の「高校魅力化サポーター」を務める岡本直己さんと夜の北栄町を歩くナイトウォークイベントを開催しました。
岡本直己さんは鳥取中央育英高校陸上部OBで、都道府県対抗男子駅伝に最多の19度出場した「ミスター駅伝」。
中国電力陸上部などで活躍した陸上界のレジェンドと言える存在で、2025年の1月の引退以来は中国電力鳥取支社の広報としても県内各地を回る毎日です。
イベント当日はあいにくの雨予報。今にも降り出しそうな冬の空を気にしながら、イベントは始まりました。まずはスタート地点の鳥取中央育英高校で、岡本さんと参加者とで記念撮影。
今回のナイトウォークの目的地は下北条駅前の旧中央保育所です。10年以上、手つかずだった廃園跡地をDIYで蘇らせました。
かつて子どもたちが過ごした思い出の保育園が、町民のための施設として生まれ変わっています。
EI!HOKUEIの有志や北栄町在住の高校生が中心となって2025年8月末からDIYを開始。
讃岐木材や梅津酒造など、地域の人や企業の助けを借りながら、廃園の再生は着実に進み、このイベントで北栄町民には初のお披露目となりました。
旧大栄町の育英高校から旧北条町の保育所跡地は約5kmの道のり。両エリアの少年少女が過ごした2つの「学び舎」をつなぐべく、一行は冬の山陰路を東進します。
「このまま雨が強くならないといいなぁ」。
そんな心配の声も聞かれながら、旧国道沿いから農道へと歩を進めます。
日没を迎え、農道は次第に暗闇に包まれます。旧国道を走る車のヘッドライト、手に持つ懐中電灯を頼りに進みますが、保育園跡地までは道半ばです。
道中、育英陸上部の長距離ランナーたちは、憧れの先輩である岡本さんと横並びで歩きます。競技の悩みごとや普段の学生生活の相談をしている様子で、身近に陸上界のレジェンドがいることは心強いですよね。
いつしか雨が上がり、下北条駅前の住宅地が見えてきました。ここまで来れば、保育園跡地はもう目と鼻の先です。
「保育園はもうすぐですよ!」。
誘導スタッフの案内を聞くと、参加者の子どもたちや保護者の方々もほっと一安心。岡本さんとラストスパートをかけ、一人の脱落者も出すことなく保育園跡地に到着しました。
到着後は保育園跡地の中でワークショップを開始。中国電力の「電気」、花工房あげたけの「花」と、2つの教室に分かれて、それぞれが同時並行となりました。
「電気」の教室は岡本さんがまずは講師となり、自らの競技人生をクイズ形式で振り返る内容です。テーブルには岡本さんが実際にレースで着用したユニフォームや、電力に関する体験キットが並べられました。
岡本さんのトークに続いて行われたのは、小さな風力発電機などを使ったエネルギー体験です。 ミニ風車を回して電球が光った瞬間、「ついた!」と子どもたちから歓声が上がります。
普段何気なく使っている電気が、どのように作られ、自分たちの生活を照らしているのか。遊びのような感覚の中で、エネルギーの仕組みを楽しく、そして真剣に学ぶ時間となりました。
もう一つの教室では、「花工房あげたけ」の根鈴啓一さんによる花のワークショップが行われました。こちらは電力の科学的な学びとは対照的に、感性を自由に表現する時間です。
用意された色とりどりの花を前に、参加者は真剣な表情を浮かべます。
「どっちの花がええかいな?」「この組み合わせかな?」。
正解のない問いに向き合い、自分の直感を信じて手を動かす。完成した作品には、作った人それぞれの人となりが表れているようでした。
悪天候の心配をよそに、ゴール地点である保育園跡地は、参加者たちの笑顔で包まれていました。 イベント終了後、岡本直己さんはこの一夜を振り返り、こう語ってくれました。
「雨予報だったので心配していましたが、意外に盛り上がってよかったですね。ナイトウォーク中も、子どもだけでなく保護者の方も含めて『足は大丈夫ですか』と声をかけ合うなど、自然なコミュニケーションが生まれましたし」。
暗闇の中を共に歩いた連帯感と、到着した後に待っていた温かい光と花。 かつての保育所という場所が持つ空気感も相まってか、会場には終始、穏やかな時間が流れていました。
「このアットホームな空間や規模感もすごくよかったですね」。
岡本さんがそう感じたように、顔が見え、言葉が交わせる「たまり場」が地域にあること。その大切さを、参加者全員が肌で感じたイベントとなりました。
日時:2025年12月11日(木)16:30-19:00
会場:北条中央保育園跡地
共催:エイ!ホクエイ・中国電力